gallery TEO

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Sat. 28 June - Sat. 26 July 2008
AKI INOMATA, AKI TOIYA

ギャラリーテオではこのたび、ギャラリー初展示となる、今春大学院を卒業したばかりの若手作家2名の展覧会を開催します。
Room Oneで展示をするAKI INOMATAは83年生まれ、3月に東京藝大大学院先端芸術専攻を卒業しました。
デジタル処理された情報が身近に溢れ、対面や手紙よりもデジタル回線がメインのコミュニケーションツールになっている今日、わたしたちには、デジタル制御された情報=ヴァーチャルが、わたしたちの現実=リアルになりつつあると言えます。
水面の波紋を楽しんだり、車窓の結露を拭いたり、雪の上を歩いたり、、、INOMATAは、そんな「何でもない、身近にある自然現象」を、敢えて、「デジタル制御されたヴァーチャルな表現」を通して見せることにより、それがリアルとして感じられたり、再認識できるのではないか、と在学中より精度の高いインスタレーション作品を制作し続けてきました。
またそれは、唐十郎のゼミの舞台に出演した経験から、舞台という人工装置(テント)が背景の自然と融合し、舞台のみならず、その背景にある自然をもよりリアルに見せる「借景」の手法にも大きなインスピレーションを得ているといいます。
今回の展示作品、“0100101”は、まるで水面に立っているような感覚で、床に投影されたヴァーチャルな水の波紋を、感じ取ることができる作品です。
私にはそれは、リアルな水面や波紋よりも、より多くの色や光を湛えた、とても魅力的なものに見えるのです。ヴァーチャルを通してリアルを再認識するという新しい気づきを、ぜひ皆様にも体験していただければと思います。

Room Twoで展示をする問谷明希(といやあき)は1980年生まれ、この3月に武蔵野美術大学大学院油絵コースを卒業しました。
問谷は在学中から、主に、スカートの柄や三つ編みなど、「女の子」の一部分を、油彩や立体で表現してきました。彼女は自分の中に眠っている“記憶の結晶”-問谷が今までの人生のなかで感じ取った感覚たちが記憶として、複合的に絡みあったもの- を呼び覚ましながら、主観的に描きます。
本展覧会いちばんの大作である、2.6mのペインティング“twilight” には、彼女の記憶の中の風景が、私もそれを見たことがあるのではないか、と思ってしてまうほどありありと描写されています。また、2メートルのペインティング“uta”に描かれる女の子のスカートは非現実的なほど多面的に構成され、その面おのおのが光を吸収し、また放っているように見えます。陶器でできた立体作品“banana’s torso”は、ミニスカートを着た女の子がくるくるとスピンした時の、そのスカートがヒラヒラと舞う一瞬が、今にも動き出しそうな不思議な生物のように表現されています。
彼女の作品はみな抒情的で、ソフィアコッポラの映画のような刹那的なナイーブさを秘めているように感じます。
私は彼女の記憶の世界を追体験するうちに、わたし自身の“記憶の結晶”を思い出しました。旅行先のスイスで見た湖の色がピンクがかっていたように思いだしたり、学生時代のある一日が、まるで一瞬だったかのように凝縮した記憶になっていたり。
彼女の作品に触れながら、みなさんにもきっとある、キラキラとした“記憶の結晶”を呼び覚ましてみていただけたら、幸いです。

ギャラリー テオ ディレクター
小和田 愛

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